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1999年07月08日(Thu) 曇り ときどき 晴れ

[ツーレポ] 北海道ツーリング 24日目 宗谷だそうや。

 北海道を旅するものにとっては、旅の原則である「早発ち早着き」は通用しない。朝は必ずと言っていいほど霧にやられるからだ。そして今朝も…。ちなみに今日の予報は晴れ。これのどこが晴れだと言いたいけど、これもまたやっぱり午前9時〜10時を過ぎた頃から晴れ出してくるんだろう。

 思えば、朝から晴れていたことって5日も無かったような気がする。一日中霧か、午前中霧、そんなパターンばかりだ。とはいえ、いずれにしても待つしかないんだよなぁ。今日は念願の宗谷だから、とにかく晴れてほしい。

 というワケで、そそくさと準備をして午前8時に出発。昨日の彼は道の駅のスタンプをどうしても押したいというコトで、私より45分遅れで出発するというので、一足先に出た。

 今日も追い風。楽。

 国道238号線は不思議な道だ。北上しているときなら、右は青々とした海が広がっているのに、左には広大なる原野。そして時折見える朽ち果てた廃屋。左は寂しい。とにかく寂しい。これで雪など降ったらもっと寂しくなるんだろう。

 車の量も少ない。耳に入るのは自転車のロードノイズ、風の音、鳥の鳴き声。それだけだ。地球上に自分だけしか居なくなったような、そんな錯覚さえ覚える。

 宗谷まであと10km足らずのところに来た。ここからしばらく激しいアップダウンが続く。でももう気にもならない。やはり知床は偉大だ。あれ以上の坂を持って来んかい! と(心の中で)叫びつつ、ペダルをぎりぎりと降み続ける。もう少しでてっぺん! というところで一人のサイクリストが写真を撮っていた。

「こんにちはー!」
「あー、こんにちはー!」
「キツイっす!(^^;」
「もう少しだよー」

 そんな会話を交わし、彼は私が上ってきた坂を一気に下っていった。

 上り切る。そして、下る。上り坂は向かい風よりもいい。坂はいつか頂上が来て、そこから下っていく。でも、向かい風は自分が向きを変えるか、風向きが変わらない限り、ずっと風を受けて走らないとならない。ペダルを止めれば一気に速度は落ちる。気持ちとしては上り坂と変わらないけど、精神的にはきつい。それまで向かい風だったのが、いきなり追い風になることなどそう滅多に無い。地図を見て、今日はずっと一直線の道を走らないとならないコトに気づくとき、一気に脱力感を覚える。しかし、この所はずっと追い風だ。気分は楽だし、距離は進むし、ありがたい。

 閑話休題。

 道は下りに入った。目の前に景色が広がる。海、山、道、すべてが視界にわっと入る。有無も言わさぬ速度で一気に下る。この瞬間は好きだ。

これから下ります。小さくてわかりにくいけど、凄い景色でした。
これから下ります。小さくてわかりにくいけど、凄い景色でした。

 そして下り切って、道はまた平坦に戻る。今までの上りも下りも嘘だったかのような平穏が続く。宗谷まであと4km足らず。

そして平和な道へ…。
そして平和な道へ…。

 左カーブをゆっくりと抜けると、「宗谷岬」と書かれた看板に出会った。着いた。最北端、宗谷岬だ。千歳からここまで、24日。北海道をほぼ半周した。

 駐車場に自転車を停め、その場にへたり込む。日々の疲労が思い出される。直後にじわーっと実感が湧き出てきた。「来たよ、とうとう来たんだ…」

 しばし休憩の後、写真などを撮ってみる。土産物屋などをうろつくが、たいしたものは無い。とりあえず十分堪能した。次は稚内だ。

宗谷岬の駐車場から土産物店など。 宗谷岬から海を臨む。
左:宗谷岬の駐車場から土産物店など。右:宗谷岬から海を臨む。

 しばらく調子よく進む。しかし、稚内湾を半周したところから風は向かい風になる。はぅ〜。まぁでもそんなに距離は無いし、頑張るべー!

 稚内駅到着。ここで礼文と利尻の観光パンフをいただく。そのままフェリー乗り場へ。時間を確認するためだ。

 乗り場に着いて、時間を見る。今日はあと一便あるな。でも、今日はタラバガニを買うという至上命令(別に命令じゃないけど)があるため、明日になるかな…と乗り場を出る。すると目の前に大きなシーフードセンターがあった。

 中に入るといきなり毛ガニ、タラバガニの生簀が…。じっと見る。大きいのも揃ってる。こっ、ここでもいいよな…。ということで、お店の人を呼び、大きい奴を一つ、実家へ送った。高かったぞ。いいホテルに一泊できるくらい。でもたまには豪勢に参りましょうや。両親もこの旅行ではずいぶんと心配をかけているしね。

 さて、用は済んでしまった。すでに稚内に泊まる理由はどこにもない。ならば行くか! 礼文へ!

これから乗り込みます。
これから乗り込みます。

 15時10分。礼文行きのフェリーが港を出た。周りはおじさんとおばさんのオンパレードだ。相変わらずぎゃーぎゃーうるさい。いいけどね。

しばしの間さようなら、稚内。
しばしの間さようなら、稚内。

 約2時間の旅。暇になるかと思ったらそうでもない。海はきれいだし、ウミネコは近寄ってくるし、利尻は見えてくるしでじっとしている暇もない。でも、利尻はちょっとかすんでいて、全てまでクッキリとはいかなかった。

船は進む…。
船は進む…。

かすむ利尻富士。
かすむ利尻富士。

 さぁ、そうこうしているうちに礼文が近づいてきた。……意外と大きい島だな。どんどん大きくなっていく。げぇぇ、でっけぇ!

 そう、よく考えたら全長でおよそ22km。自転車で1時間ちょっとじゃんかという計り方は大間違いだったのだ。22kmと言ったら、家から秋葉原まで行ってもまだまだ足りない距離だ。侮っていたぞ、礼文!

近づいてくる礼文島。
近づいてくる礼文島。

 礼文島到着。例の有名なユースの人が噂通り旗を振ってのお出迎え。でも私はユースは苦手なのだ。パス。港からおよそ19km北の、久種湖畔キャンプ場を目指す。

 まぁ、1時間もあれば着くだろう。そう思って礼文の町を走り出す。町並みは、走り出してしばらくは、よくある温泉街のように右に左に旅館や土産物屋が軒を連ねている。それが終わると、道は海岸線に出て、右手に利尻を眺めつつ、先ほど乗ってきたと思われるフェリーがその前を通過していく光景が見える。

 この道の景観そのものは、道内のそれとあまり変わりはない。右に海、左に切り立った崖。最北端の島なんていうようなイメージを抱えつつ上陸したものだから、ちょっと肩透かしを食らったような気持ち。何を期待していたんだか。

 天気はいい。ウェアはタイツは穿いているしジャージは長袖だったのだけど、とりあえずゴールも近いのでそのまま。なので暑い。目的地まであと5kmくらい…というところで坂道が…。これがまた、距離は短いものの、傾斜のすごさは摩周湖並み。ローギアでダンシングしてやっと、ゆ〜っくり上って行ける。ちょっとでも力を緩めると後ろへ引き戻されそうになる。

 やっと上り切る。目の前に眩しいほどの太陽が現れる。「気持ちはありがたいけど、暑いよ〜」 しばらく味わっていなかった、灼けるほどの日差し。ありがたいけど今は暑い。

現れる太陽。暑い〜。
現れる太陽。暑い〜。

 下る。すぐに左手に久種湖(くしゅこ)が見えてくる。あとちょっと。時間は午後6時を過ぎた。それから程なく、今日の宿にたどりついた。あの坂はキツかった。明日は南端まで行ってみようかと思っていたけど、どうしようかなとか悩み始める。(^^;

初めまして、久種湖。
初めまして、久種湖。

「久種湖畔キャンプ場」

今日の宿。
今日の宿。

 その名の通り、久種湖の目の前にあるキャンプ場だ。広さは並みといったところ。一泊フリーサイトで300円。ちと高め。いつもの通りにテント、米と準備を進める。その後、1km程離れた銭湯へ行く。温泉にあらず。残念。

 テントに戻り飯の支度をしていると、夜露が降りてきた。やだな、ここから霧になったりしないかな…と心配しつつ、午後10時に就寝…しようとするも、三方からけたたましいいびきの大合唱。

 そーゆー奴はバンガローへ行けっ!(^^;

 まったく眠れない。MDを聴くことにする。こうしてなんとか眠りについた。(時々起こされたけど)

走行距離 82.6km (道内63.5km、礼文島19.1km)実走行時間 4h25m
平均速度 18.6km/h
最高速度 56.6km/h
積算距離 1545.0km


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BROMPTON S2L (SCHWALBE KOJAK 16inch 1 1/4 WO 32-349) : 1280mm

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