おなじみのおのひろきさんと麦草峠を上ろう。そんな話をしてから、すでに数ヶ月。あの時から私はなんとか経済的に余裕も出来たので、もうそろそろ行きましょうよと、おのさんをつっついて、麦草峠へのアタックを計画してもらいました。
麦草峠。標高2127mの、アップダウンのない、上りっぱなしの峠。標高差は、出発地点の茅野駅からだと1,000m以上! 北海道できつかった、知床峠でさえ、標高738mです。果たして上り切れるのか!?
今回の相棒はやっぱりAMANDA。折り畳み自転車オーナーの集まりでもあるし、ここは当然。さらに、前回の道志みちから、ブレーキレバーを換え、シフトレバーの位置を変え、そのテストも兼ね、今回のチョイス。
今回の旅の友は、買って2ヶ月のBD-3を駆る吉田さん、私と同じAMANDAで登場の須藤さん、そして幹事のおのさんの4人。そして茅野で合流する、HIDEさん、HIDEさんの所属するチームの仲間である“あんちゃん”の計6名。しかし後述のお二人は、夕方から用事があるということで、お二人のペースで進むという話。
宿はおのさんが14〜5年ほど利用している、野辺山の「こっつぁんち」。形式としてはユースホステルのようなものだとか。私は北海道でユースに関していろいろないやーな話を聞かされていたので、「どーなるんだろう?」とちょっと不安も…。(笑)
乗るべき列車は、新宿発、松本行きのスーパーあずさ1号。待ち合わせのホームに到着したときは6時過ぎ。ちょっと早すぎたかなぁと思って乗り場へ行くと、すでに輪行袋を足下に置いた人が見える。早速声をかけると、BD-3の吉田さんだった。
あれこれと話をしている間に、同じAMANDAの須藤さん、そして幹事のおのさんと勢揃い。ホームに入った列車に乗り、一路茅野へ。
車内であれこれと談笑。いろんな話で盛り上がる。そしてあっという間に茅野駅到着。すぐに自転車を組み立てる。BDの二人は、それこそあっという間に組み上げ完了。そこだけはいいなぁと思う。(苦笑)
こちらが組み上げている間に、HIDEさんとあんちゃん登場。私と須藤さんも準備完了し、いよいよ麦草峠ヒルクライムの開始!
初めは国道299号、152号をだらだらと進む。とはいえ、それなりに上っているので、こちらもそれなりに気合いを入れる。BD-3の吉田さんは、峠を走るのもこれが初めてということで、すでに厳しい表情。とりあえずギアを軽くし、回転で稼ぐようにすること、無理なペースは作らないことなどをアドバイス。
天気は意外と良くて、気分も高まる。目の前に見える山々のどこかが、今日の頂上。それにしても、あそこまで行くわけか…。冷や汗が思わず…。
最初のコンビニで補給食と飲み物を調達。ここからHIDEさんとあんちゃんは彼らのペースで進み始め、あっという間に姿が見えなくなってしまった。化け物だ……。私たちは、私たちのペースで進むことにする。
今回は心拍計を付けてきたので、ペースはちゃんとつかめるはず。たぶん、峠においてちゃんと心拍計を見ながら走るのは、初めてかもしれない。普段どの程度のペースで走っているのかこれでわかるかも。
所々で休憩をしながら上る。すでに何カ所かで、きつめの上りが現れてきたりして、そういうところでは心拍計を見つつ、ケイデンスをあまり落とさないペースで進む。時折、後続との距離が空いてしまうこともあり、リミットを160に決めてそれを越えないようにした。
実は、普段のペースで走ってみたら、心拍は軽く170を越え、190に到達することもあった。これじゃあ最後まで持たないのも当たり前だ。今後の峠は、ペースダウンは必至かも。
AMANDAにはF30T×R27Tが入っているので、ここまで落とせばかなり楽に進むことが出来る。やはりフロントはトリプルにしておいて正解。
そうこうしつつ、進んでいくと、分岐に当たった。いよいよ麦草峠の始まり。というか、まだ始まってなかったのね。(笑)
斜度はここまでとあまり変わらない感じ。助かるのは、とにかくどこまでも上りっぱなしなこと。道志みちのように上っては下りを繰り返しながら少しずつ標高を上げていくのは、精神的にも疲れる。ひたすらひたすら上っていく峠の方が、上りやすいので好きだ。
上りのペースは、速すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。それぞれが持つペースで上るのが一番疲れない。ということで、自分勝手ながら時々集団から離れ、先方で待つ…という姑息な走り方を取ることにした。何せ初めての峠。先がわからないので勘弁してください。
吉田さんは、初めてという割りにはよく走っている。まことに失礼ながら、初めてで2,000m級の峠にチャレンジするなんて、大丈夫かなぁと思っていたのだけど、意外や意外、すごい頑張りようだ。時折、3人だけで先に行ってしまい、彼が上ってくるのを待つ…という状況になったのだけど、それでも私が思っているよりはるかに早い時間に追いついてくる。すごいぞ。以前何かスポーツでもやっていたのかと聞くと、何もやっていないという。このまま1年もしたら、彼はすごいサイクリストになっているかもしれない…。
途中からポツリポツリと雨粒が落ちてきた。あああ、こんな早い時間から降り出してきたか。夜までは大丈夫だと思っていたのだけど、それは天気の気まぐれ、ずれるのが当たり前。とりあえず本降りになるまでは雨仕度はしないで走り続けるも、次第に雨足は強くなり、タイミング良く現れたバス停の屋根の下でとうとう雨具を取り出した。
9月も終わろうとしている今日だけれども、すでにこの辺りは気温も低いため、ウィンドブレーカーや、風よけにも使える雨具類は必須。雨が降るかもしれないという天気予報もあり、全員その辺はぬかりなく、完全防備な姿になった。
先々週の道志に続いてまたもや雨。しかし雨もそれなりに楽しくなってきた。状況がキツイほど、上り甲斐があるってものだし。今回はMTB用の泥よけも持ってきました。もう完璧!
再び上り始め、ようやく冬季閉鎖用のゲートに到着。あともうちょっとだ!
すでにどのあたりだったか忘れてしまったのだけれど、途中で例の二人が道を下りてきた。速い、もう上って来ちゃったの? 「あとどのくらいですか」とおのさんが聞くと、8kmちょっとだという。まぁ、良くてあと1時間くらいってところかな…。ここから先は、その距離を頼りに進み続けた。
雨もそれなりに降っているし、上るに連れて気温も下がってきた。実は、先ほど寄ったコンビニで、軍手でも買っておこうと思っていたのにすっかり忘れてしまった。上っている間はいいのだけど、下りではさすがに手が冷たくなるだろうなぁ。
とにかく、今は上る方が先だ。最後の数kmは、止まることなく、一人で先に進んでしまった。何せ一刻も早く頂上について一息入れたかったのだ。
頂上での休憩は山小屋だと聞いてはいたものの、はてさて、どこが山小屋なんだろう? まったく気づかないまま、私はそこを通過してしまい、一人先に頂上へ到着してしまった。山小屋ってこの先なんだろうか? そう考えつつ、せっかくなので証拠写真を一枚。
しばらくそこで待っていると、須藤さんが追いついてきた…と思ったら、「山小屋は手前です」と、そこで初めて通り過ぎてきてしまったことに気づいた。
山小屋の前で少し待つと、吉田さんがゴールイン。すごいすごい、上り切ってしまった。しかも押しなども一回も入れることなく! 私が初めてスポーツのために自転車に乗り始めた頃を思い出してみると、あの頃の自分では絶対に出来ないことだろう。それをやり遂げてしまったのだから、すごい自信になったと思うし、上り切った達成感も、それは半端なものではないはず。
みんなで無事頂上到着を喜びつつ、山小屋で食事。時間は3時前後だったかな。5時間くらいかかったことになる。やっぱり知床とはかかった時間も違う。所々休憩して何とか上ったのだから、このままじゃ乗鞍岳のヒルクライムも難しいものがあるなぁ。(笑) もっともっと鍛えないと!
さて、これからいよいよ下りだ。雨が降っているので無茶は出来ないけれど、それなりに楽しめるはず。手の冷たさだけが気がかりだけど…。
下り初めてすぐ、AMANDAの異変に気づいた。やけにハンドルがぶれるのだ。前輪が振れている? 時折止まってあちこち見てみるものの、原因がわからない。止まっては走りを繰り返し、とある直線でペダルを踏み込んだ瞬間、突然前輪が暴れ出し、車体もろとも激しい振幅で震え始めた。
「まっ、まずい、この速度で自転車から振り落とされたら確実に大けが…いや、死ぬっ!」
すぐさま腰を引き、ハンドルを押さえ、じわりじわりとレバーを握り、振り落とされないように減速を続け、ようやくAMANDAは停止した。
いったいなんだったんだ。フロント周りの剛性が全くなくなってしまっている。ヘッドを拳でゴン! と叩くとボヨンボヨンという感じで揺れが起こる。
ワケが分からず、そのまま30km/hを越えないように、ひたすらブレーキを握りながら下っていった。
一人遅れて下りのゴール地点へ。事情をみんなに話すも、みんな首を傾げる。とにかく帰ったらAMANDAへ持ち込んでみるか…。ここから私は一人スローダウン。
八千穂まで下り、松原湖まで一行は進む。海尻という駅から輪行して野辺山まで行こうということになり、おのさんのGPSを頼りに、海尻駅を探す。
見つかったその駅は、私の「駅」という感覚からはかなり外れたものだった。
野辺山駅到着。ここで再びAMANDAを組み立て、ビールなどを買い込んで宿へ向かう。こっつぁんちは、おのさんが14〜5年ほど利用を続けている宿。ご主人はいつもニコニコしていて、しょーもないギャグが好きだ。(失礼)
突っ込みようのないギャグ…という点では私も負けてはいないと思うのだけど…。(笑)
風呂、食事と続く。出てくる野菜類は、すべてが自家栽培なのだという。宿を経営しながらそんなことまでやってしまうとは、すごい人だ。
食後の晩酌。ダイニングで他の宿泊客との語らいの時間。一人だと、絶対にこういう宿には来ない私だけど、たまにはこんなのもいいかなぁと思う。話が楽しくて、午後11時くらいまで話し続けた。
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タイヤ周長一覧(実測値)
STRiDA LT (Primo Comet 16inch 1.35 HE 37-305) : 未計測
Raleigh RSW Special (Primo comet 20inch 1.35 HE 37-406) : 1450mm
BROMPTON S2L (SCHWALBE KOJAK 16inch 1 1/4 WO 32-349) : 1280mm