出発の日、羽田から飛行機が飛び立ったときの心境を今でも覚えている。
「おいおい、飛び立っちゃったよ。いいのか? おぃぃ」
こんな感じ。準備期間は十分あったにもかかわらず、結構ばたばたしたまま出てしまったのでこんな心境になったのかも。それから50日間、いろんなコトがあった。自分でこの日記を読み返しつつ、本当にいろいろなことがあったな…と感慨深いものを感じる。
結局のところ、自分にとって何か糧になったことはあったのかと考えると、よくわからないのが本音。体重も、体脂肪も全然変わっていなかった。(^^; 坂は多少強くなったかもしれない。でも、結局東京へ帰ってきてしまえば、坂の強さなどどうでもいいことだ。ここには北海道に匹敵する坂が無いのだから。
北海道は本当に広かった。そして、空や海が青く、緑が美しいところだった。
こちらの人たちはとにかく優しく、一人旅なのに全然寂しくはなかった。
旅の途中で地元の人によく聞かれたのが「どこがよかった?」だったのだけど、北海道には外れがない。天気が良ければ、どこへ行っても最高に良いのだ。
雨、霧、風。これらには本当にやられた。それまで長いツーリングは経験がなかったし、千葉県一周ツーリングは膝痛でまともに走れなかった。今回、初めて長い旅をすることとなって、やはり、これらの障害には胃が痛くなる思いだった。でもやっぱりそういう辛さがあったからこそ、いい景色に出会えたり、おいしい食べ物に出会ったりしたときの感動も深いものになる。
そして山だ。それまで山らしい山を走ったことはなかった。北海道の山は、全国的に見てどうなのかはわからないけれど、初めての経験に、とにかくいろんなことを思い知らされたような気がした。
雄冬で出会った55歳のサイクリストはこんな風に話していた。
「僕はそれまで登山なんかやってる奴の気持ちがよくわからなかったんだけど、前回四国八十八カ所巡りを自転車でやってみて、その気持ちがよくわかったんだよ。特に、自転車で山を登ったときのあの達成感と充実感は自転車ならではのものだと思う。他では味わえないんだよね」
自転車での上り。普段に比べ、生活用品まで乗っかった状態で、ひぃひぃ言いつつ、心臓も「これ以上鼓動が早く出来ませ〜ん」と音を上げそうな状態で、ギリギリとペダルを踏み込む。腿のあたりは次第にじわ〜と筋肉が硬直していくのがわかる。汗は頭から腕から足から吹き出し、ぼたぼたと地面へしたたり落ちる。きつい。次第になにをやっているんだろうという気持ちになってくる。前を見てもまだまだ坂は続く。目の前のカーブを抜け、その先にさらに長い上りが続いているとき、もう激しい絶望感に包まれたりする。ダメだ、もう上れない。とうとう足をつく。悔しい。足をついてしまった時点で自分はもうその坂に負けてしまった。敗北者の気持ちを抱えつつ、再び足をペダルに乗せる。
そして自分という人間が、この坂すら征服できない小さな人間であることに気づく。でも、今は上っていかないとならない。そうしてやっと上りきったとき、それまでのことなどどうでもいいじゃないかと思うようになる。とにかく、自分はこの坂の頂上にいるんだ。それでいいじゃないか。素直にそう思えるようになる。
そして下るときにつぶやく。「次を見ていろ」と。
またいつか北海道へ行ってみたい。ここは何かをつかめそうな気がしてならない。山は他にもたくさんある。でも、ここだけはなんだかひと味違う気がするのだ。山だけではない。気が遠くなるほどの直線。イライラするほどに上ったり下ったりの道。ゆるやかに、そして意地悪に上っていく道。ありとあらゆる道が、ここにはある。自分を試すための舞台は、すべてここに整っているような気がするのだ。
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タイヤ周長一覧(実測値)
STRiDA LT (Primo Comet 16inch 1.35 HE 37-305) : 未計測
Raleigh RSW Special (Primo comet 20inch 1.35 HE 37-406) : 1450mm
BROMPTON S2L (SCHWALBE KOJAK 16inch 1 1/4 WO 32-349) : 1280mm